Orphan Drug

稀な病気はかえって儲かりやすく製薬会社のドル箱になっているのだと。。。

 

前記事(I wanna be Hervey Lodish - Carpe diem ~MIT MBA 留学記~)で触れたGenzymeだが『稀な病気の治療薬なのにもうかるのはなぜだろう?』と思い調べてみた。

 

1) Orphan Drug Act

全米で患者数200,000人以下の疾患の治療薬を対象に開発費補助、通常より長い特許や税制優遇が成される制度

 (Orphan Drug Act、背景:1980年頃、薬剤の安全面が重要視され開発費が跳ね上がった結果、製薬会社はこぞって主要疾患治療薬開発に注力するようになった。その結果見捨てられた孤児薬(Orphan Drug)の開発を促すため立法された。)

 

2) 相対的な開発の容易さ

特に代謝異常の疾患は副作用がでづらく臨床試験を進めやすい。またこういった病気は心情面が作用してかFDAからの承認が下りやすいとのこと

 

3) Patient Foundation

主に家族によって建てられた基金は時にNIHの補助金を超える金額を集金するんだとか

 

学生時代に実習で小児先天疾患の方々に接する機会もあったが、失われてしまう物のあまりの大きさを考えれば何はともあれ薬剤開発が促進されたのは喜ばしいことだと思う。

 

 

最近非常に高額な薬剤が出てきていることはMBA出願の際のエッセイのテーマにしていたこともあり、大きな関心があったので今回の勉強を一旦形にしてまとめておきたい。

 

特にこちらでヘルスケアについて学んでいるとGreedyな利益追求組織としての製薬会社の側面がどうしても強調されてしまう。実際のところ収入最大化の為に薬剤を高額で販売している部分もあるのだろう。

 

しかし開発・製造と莫大なコストがかかる以上、開発者のインセンティブを削がない形で治療が為されることは必要不可欠だと思う。僕の大好きなAndrew Lo教授も消費者金融を利用したFundingが利用できないかという趣旨の論文を出している。

 

よく言われるように人の叡智の産物は諸刃の剣だ。時に甚大な被害をもたらす一方で"正しく"使われれば大きな恩恵を受けることが出来る。

 

原子力が正しくそうだし、医学も、そして金融工学も同様だ。

 

2008年の金融危機は金融工学によって引き起こされた。負の側面として当時の被害があれだけ大きかったのは、正しく金融工学の正の部分のポテンシャルの大きさを証明する物ではないか。

 

それだけの恩恵を授けることが出来るのなら、リスクを鑑みて放棄するのではなく正しい活用法を生み出す方向に努力していきたいと強く思う。