試合前の恐怖心は誰にでもあるもの それから逃げずに受け止めそして乗り越えた時に初めて理想の精神状態にたどりつける さすが赤木君たどりついたね(スラムダンクより)
英語と生理学のお話
"テンパるな・・・"
何度思ったことだろう(特に昨秋だ、いや今でもあるか)。緊張すればするほど英語が出てこない。授業中、喋りたいことが出来た直後、前の人が話し終わるのを待ち手を挙げ、教授に名前を呼ばれ話し出し、注目を集めるまでの数10秒に高まる緊張。話す内容は一語一句考えてあるのでなんとか言える。だがもうそれであっぷあっぷ。
Insightfulなことを言えてもその後の議論は自分抜き、だって頭が固まってしまって全然使えない。昨日の誕生日会ではあれだけ熱い議論が出来たのに。(もちろん英語でだ、内容はたしか出生率の変化度合いと絶対値、どちらが人口動態に与える影響が大きいか。どうでも良いんだ)
モルガンスタンレー3年目の春。2013年だ。誰しもが抱いていた強気な予想に反し債券価格は急落(荒い例えだが10分ごとに日経平均が3000円下がって2000円上がってまた5000円下がる様な感覚)。自分も年間予算の何倍損しただろう。見たことない速度で上げ下げする相場を前にただ立ち尽くすのみ。”何もしない決断をする”ことで精一杯。うまく立ち回れたら年末まで働かなくて良い上にボーナスも、昇進も思うままに出来るほど儲けられたのに。自分てもっと賢いと思っていた・・・
ところで脳は2部分に分けられる。
大脳辺縁系:偏桃体とか、原始的な機能を司る。感情、恐怖、性欲、強欲。視覚を通じてスイッチが入るとされている(覚えがないだろうか、僕にはある)
新皮質:進化の過程で出来上がった部分。計算、論理的思考、言語能力など人間固有とされる能力を司る。
これらが面白くもやっかいなのは協調して働くという建前の実、お互いがお互いに反作用的に働くということ。(要は一度にどちらかしか使えない)
だから恐怖のスイッチが入って大脳辺縁系に支配されちゃった脳はもう理論的な判断をくだせない。これをAmygdala(=偏桃体) hijackと言うらしい。
悪いことではない。現代人の不都合は大抵、原始時代の便利な機能の名残だ。原始時代、危機に直面したら一刻も早く逃げないといけなかった。(Fight or FlightってきっとほとんどFlightだよね。)今だって誰かが溺れてたら考えてる時間などない。助けないと。(ちなみにそんな経験はない)
しかしテンポの早い議論で外国語を操るとか、百戦錬磨の投資家達に打ち勝って千金を手にするとかいう高度知的活動にこれは非常にまずい。(哀れ若手トレーダーはキャリアの危機に追い込まれた)金融市場は万人の知恵の結晶、効率的市場仮説も知性を失った元賢者の暴動には脆い。
逆にきっと、楽しめたからうまくいったとか、夢中でやった時の力ってこういうことだ。だから僕はこれからも楽しむことのできる能力を大事に育てて行きたいと思うし皆そうすれば良いのになーと強く思う。それは不真面目なんかじゃない。みんなほんとはもう少しすごい。
Amygdala Hijackとなおざりにされる前頭葉