Pay it forward

こちらの風土で気に入っていることの1つが人々のapproachableさだ(気さくさ、とでも言えるか)。

 

人の馴れ馴れしさ。初対面ですれ違う人々や会社でパントリーで鉢合わせた初対面の同僚と気軽に中身の無い会話を交わす距離の近さは寂しがりの?僕には心地が良い。

 

また就活における大切さが身に染みたことをきっかけに始めたNetworking。

LinkedinでAlumniを検索しいきなりメール送信。”It would be wonderful if you could talk about what you are doing and how you have navigated your career path over coffee, lunch, or something."

 

返信率の高さに驚き調子に乗って偉い人(時価総額数10bnのCがつく職の人)や就職には関係ないけど話聞いてみたいと思った人たちにコンタクトをとってもほぼ皆が何かしら反応をくれる。

 

それはインターンしている会社内でも同じで本当に色んな人の色んな話を聞いてきた。そこから得たものはちょっと簡単には語りきれないが少しずつ書き残していきたい。

 

1つのアドバイス、これは僕が尊敬する日本人のアラムナイで私費留学後起業し2-3年ですでに10億以上(たぶん)調達している起業家からのものを紹介したい。

"僕がMITにきた時の英語は酷かったですよwポイントは2つで、まずは英語を仕事で使うと自然にうまくなる、あとは文法や語彙よりも発音ですね"

インターンが一か月経ってこの言葉が身に染みている。英語には本当に苦労し続けているが最近ようやくビジネスでまともにやれるレベルに至ってきた。(まだまだだけどね)

久々に同級生と話して再認識したがMBAは下手な英語に異様に寛容だ。どんなにたどたどしくてもニコニコしながら聞いてくれる。あれじゃあ聞き手が緊張してしまうのではないかと思えるくらい。また(恐らく)

 

発音の重要性もだ。Brandedと発音したつもりがBlind?と聞き返される。プレゼンの練習のために録音した自分の英語の分かりづらさを聴いて愕然とする。これじゃあ電話で音質悪くなったら猶更通じないわ。モルガンスタンレー時代にシコシコと2年間も発音矯正してきたのに・・・と思いつつ理論は理解しているのでまたシコシコと改善。

 

最後に、一番難しいのはタイトルにもしたPay it forward。自分もなんとか還元したいと思いつつも、現状は助けてもらった経験10に対して何か後輩に返したのは誇張抜きで0.3くらい?いつかは自分も・・・

 

蛇足だが、昔見た映画のPay it forwardで主演していた麗しき少年(six senseにも出ている)が変わり果てた姿は地獄のミサワによく似ていると思うのは僕だけだろうか。

 

f:id:max0030:20170713021148p:plain

f:id:max0030:20170713021333p:plain

 

Image result for 地獄のミサワ

Dear Hiring Manager

随分と期間が空いてしまった。

大好きなエクセルで計算してみると228日ぶりの更新。

厳しい冬を超え(シャワー後外出すると髪が凍る)、コアセメスター、更に1セメスターを終えボストンは穏やかな夏に。

厳しく殺風景だった町が艶やかに姿を変えるとともに自分の中にも経験の蓄積、価値観の変化など色々あった。

どこから書いたら良いか分からないが気軽に1ページずつ更新していこうと思う。

 

f:id:max0030:20170713011804p:plain

タイトルのDear Hiring Managerとはある職への応募者が祈られた際に送ったとされるメール(画像添付)から。

結局のところ抵抗むなしくオファーには至らなかったなかったようだが、求職の拒絶を拒絶し話題にはなった彼(彼女?)のCreativeさには敬意を表したい。

これが人ごとに思えず今回取り上げたのはトランプ政権のせいで空前の(たぶん)International生(非アメリカ人)就職氷河期に四苦八苦した経験からだ。

最終的にこちらのバイオテック企業でのインターンにありつけたが、その過程には応募数65、そのことごとくが面接にすら呼ばれず数か月に渡る苦しい戦いを強いられた。

何を試しても落とされ落とされ落とされ(表題メール送信者のようなクリエイティブさがあったらよかったのかもしれない)、自信を失い切ったところで辿り着いた最初にもらったフィードバック"Show more confidence"の発揮仕方が分かってきたこと、それと同時に夏直前の募集が一気に出てきたタイミング、そしてJapan Trekで心身ともにうまくリフレッシュできたことが重なりなんとか機会を得られた。

息つく暇もなく始まったインターン、そして始まってすぐの時点で知らされたインターン直後のオファーは出ないというなかなかタフな事実。

 

まだまだ楽はさせてもらえなさそうだ。

出席率?

大学時代、僕はシコい(がり勉)と評判だったけど授業にはほとんど出たことがなかった。"ほとんどの先生は教えるの下手だよね。あんなつまらない授業出るなら自分でやった方が効率良いじゃん"なんて生意気なこと、本気で思って言っていた。嫌いな科目はとことん勉強しなかった。”こんなの勉強しても何の役にも立たないから。”

 

また出席率と反比例するかのようにテスト対策の技術はどんどん上がり、5-6年生の頃は過去問を解いてポイントを押さえればデュプロ(クラス皆で作った教科書)すら読み込まなくてもほとんど全ての試験をパスできた。

 

でも小さな罪悪感は募るばかり。授業出ない分、ほんとに勉強できてた??あの時役立たないと思ってたものはほんとに勉強せずによかったのか?”まっくす(僕の大学自体のあだ名)は要領良いよねー”とか言われても、授業にちゃんと出てるやつらの方が体系的で網羅的、そして簡単には忘れない確かな知識を身に着けているのは肌で感じていた。

 

だからこっちに来てからは授業は全部出るようにしている。大統領選の翌朝はさすがに、トランプが勝ったショックでダラけた。”今日くらい良いかな”って思ったけどムチをうち学校へ。先日久々に日本人クラスメイトで集まったとき僕の出席率を聞いて別の同級生は驚いていた。(そんなに怠惰そう?笑)

 

同級生の中には授業にあまり来なかったり、内職したり、ケータイばっかりいじるやつもいる。(人間そこのところは大人になってもあまり変わらないのかも)会計や統計の必修科目はどこかで聞いたことのあるような内容が多いのも事実だ。それでもノーベル賞級の学者たちが一生懸命練り上げ、彼らの手で教えてくれる授業に何か得られる物はあるはずだしあやふやだった知識の復習にもなる。

 

また初めて受ける欧米式の授業、発言する内容やタイミングも苦労したけど今ではだいぶ慣れて一授業で一回くらいは発言出来るようになってきた。そもそも教授やクラスメイトが何を言っているか理解しきれない状態で始めて、毎回授業で最前列に座り、発言しようと頭を働かせ続けることで(改めて書いてみると優等生だなー)基礎的な英語力、リスニング・スピーキングはもとより英語で考える力はだいぶ伸びたと思う。これからも、少しずつ伸ばしていけると良いな。

 

いよいよ来学期からは選択授業だけ。自分の興味を目一杯掘り下げて、存分に学んでいきたい。

 

 

f:id:koyamyuk:20161126145741p:plain

クラス風景、誰かが誕生日の時は皆で祝うのが恒例

Thanks giving

モルガン入社3年目、日銀の異次元緩和が始まって債券市場はリーマンショック以来の荒れ相場、毎日自分の年収以上の金額を失いトレーディング権は剥奪寸前。若手の儚い自信は粉々に打ち砕かれ、五里霧中でもがくも回復できる目途は全く経たず辛い日々。

 

そんな折たまたま職場ビル内のジムの会員権を譲り受ける。ブローカーの方からも勧められたし、入社以来高騰続きだったエンゲル係数、飲酒量から蓄えたビール腹の一助になればと思い昼休みの運動をスタート。トレッドミルはつまらないしまずはプールへ。どうやらジムに通ってる人たちの間では1kmくらい泳げて1人前らしい?先輩セールスでは週数回3km泳いでからサウナに30分入ることを習慣にされている方も。いっちょ泳いでみるかー。

 

・・・・・100m泳ぐのってこんなにきつかったっけ?そしてなぜか恐怖感???

 

思い返してみると小さいころから水が怖くて、お風呂に入れてもらっては泣いてばかり。小学校でも水泳が大嫌い。高学年まではせいぜい10m程しか泳げず、授業のある日は天気が悪くなるよう密かに神さまにお祈りしてたような子供だったのでした。

 

とはいえそのままでは悔しいのでそこからは水泳が日課に。キツいし恐いけどこれくらいは自分に勝たないと自信は取り戻せないと思い毎昼プールに通い続ける。少しずつ実力が伸びていく体育会的な喜びを久々に感じながらようやく止まらずに1km泳げるように。

 

そのまま運動は今まで習慣として続いているけど、うまく追い込めた後の気持ちは爽快だし、社会人になっても色んなスポーツをやる中でリフレッシュ方法として大切にしてきた。(だからJust for funみたいなスポーツはあまり楽しくない笑)冗談でなく、あの時先輩から譲り受けたジムの会員権が僕をウツから救ったのかもしれない。

 

・・・・なんてことを1000ヤード(MITのプールは1コース25ヤード)泳いだ後のシャワーで思い出していた。

 

MBAやビジネス本で良く言われてることだがGetting out of your comfort zone、居心地の良い場所から積極的に出ていくことは様々な意味で大切だ。思い返してみると入学後3ヵ月間は何もかもが新しいことばかり。幸か不幸かcomfort zoneにいれることなんてほとんどなかった。とは言え今週はThanks giving休暇ということで一休み。

 

First semesterもいよいよ終盤。残りの休暇もしっかり休んでリフレッシュして、年末の課題ラッシュとFinalに備えたい。

 

調子に乗って七面鳥やらなんやらを食べ過ぎて次郎後のような満腹感に酔いしれながら、決意を新たにした。なんだか食べてばかりだなあ・・・

 

 

 

f:id:koyamyuk:20161126122146p:plain

昨日はRoom mateのMikeの実家で本場のThanks giving dinnerを味わう。さすがMikeの家族はみな良い人で、僕が良く食べると聞いてなんと18ポンドの七面鳥を用意してくださっていた。たらふく食べたところで妹さんの手作りのデザートを勧められ、僕の腹はほぼ限界に。笑

 

f:id:koyamyuk:20161126122212p:plain

たまたま見かけた野生の七面鳥の行進。仲間を返せ?

 

f:id:koyamyuk:20161126122301p:plain

今日はあえての七面鳥で参鶏湯風に。自炊は相変わらず鍋物ばかり

 

Orphan Drug

稀な病気はかえって儲かりやすく製薬会社のドル箱になっているのだと。。。

 

前記事(I wanna be Hervey Lodish - Carpe diem ~MIT MBA 留学記~)で触れたGenzymeだが『稀な病気の治療薬なのにもうかるのはなぜだろう?』と思い調べてみた。

 

1) Orphan Drug Act

全米で患者数200,000人以下の疾患の治療薬を対象に開発費補助、通常より長い特許や税制優遇が成される制度

 (Orphan Drug Act、背景:1980年頃、薬剤の安全面が重要視され開発費が跳ね上がった結果、製薬会社はこぞって主要疾患治療薬開発に注力するようになった。その結果見捨てられた孤児薬(Orphan Drug)の開発を促すため立法された。)

 

2) 相対的な開発の容易さ

特に代謝異常の疾患は副作用がでづらく臨床試験を進めやすい。またこういった病気は心情面が作用してかFDAからの承認が下りやすいとのこと

 

3) Patient Foundation

主に家族によって建てられた基金は時にNIHの補助金を超える金額を集金するんだとか

 

学生時代に実習で小児先天疾患の方々に接する機会もあったが、失われてしまう物のあまりの大きさを考えれば何はともあれ薬剤開発が促進されたのは喜ばしいことだと思う。

 

 

最近非常に高額な薬剤が出てきていることはMBA出願の際のエッセイのテーマにしていたこともあり、大きな関心があったので今回の勉強を一旦形にしてまとめておきたい。

 

特にこちらでヘルスケアについて学んでいるとGreedyな利益追求組織としての製薬会社の側面がどうしても強調されてしまう。実際のところ収入最大化の為に薬剤を高額で販売している部分もあるのだろう。

 

しかし開発・製造と莫大なコストがかかる以上、開発者のインセンティブを削がない形で治療が為されることは必要不可欠だと思う。僕の大好きなAndrew Lo教授も消費者金融を利用したFundingが利用できないかという趣旨の論文を出している。

 

よく言われるように人の叡智の産物は諸刃の剣だ。時に甚大な被害をもたらす一方で"正しく"使われれば大きな恩恵を受けることが出来る。

 

原子力が正しくそうだし、医学も、そして金融工学も同様だ。

 

2008年の金融危機は金融工学によって引き起こされた。負の側面として当時の被害があれだけ大きかったのは、正しく金融工学の正の部分のポテンシャルの大きさを証明する物ではないか。

 

それだけの恩恵を授けることが出来るのなら、リスクを鑑みて放棄するのではなく正しい活用法を生み出す方向に努力していきたいと強く思う。

 

 

 

I wanna be Hervey Lodish

~医学と金融の交差点にて~

先日CancerXというイベントに出た。

 

周知のとおり、抗癌剤の開発はハイリスクハイリターン。

統計によると$200millionの投資に対して5%の成功確率、10年を超える開発期間を経て成功した際には$12billionのリターンが得られるそうだ。

 

年間期待リターン11.6%と破格なのだが高すぎるリスクから投資がなかなか集まらない。実際バイオベンチャーの資本コストは10%を超えることもザラ。

 

そこで、$30billionの巨大fundを立ち上げ、確率理論上独立したプロジェクトを多数同時に回した上で証券化やCSR向けの投資資金を駆使すれば投資家へのリスクを減らせるのでは?というテーマについて金融、医学、そしてコンピューターサイエンスの人たちを巻き込んだ議論が行われた。

 

 

"これだけ自分のキャリアにフィットしたイベントもなかなか無い"と思い参加。久々に感じる興奮からかもしかしたら自分はこのために生まれてきたのかもしれない、と大げさながら感じてしまった。

 

 

また他のイベント参加者はBostonやNew Yorkから集まったトップクラスの医師やバンカーたちとそうそうたるメンバー。MBA生は僕だけという恵まれた状況で色々教えてもらえる良い実りの多い機会に。

 

 

ちなみに主催者のAndrew Lo教授はMITの看板教授の1人でBoston、New Yorkから集まったトップクラスの医師やバンカーたちが口を揃えて"He is a great thinker."と呼ぶ人だ。このイベント以降Youtubeで同教授の講演を何度も見ているが彼の話は本当に面白い。(授業を取るのが楽しみ)

 

題材のMega Fund、まだ具体的な話は始まっていない。残念ながらご本人も実際にFundを立ち上げる意思はないようだ。しかしこれだけ強烈に偉大な方が音頭を取っている限り、Mega Fundというバベルの塔もいつか日の目を見る日がくるのかもしれないと思わずにはいられない。

 

 

 

最後にAndrew Lo教授が好んで自身の講演に使うストーリーを紹介したい。

 

(以下引用)

私はHervey Lodishのようになりたい。

 

MITから歩いて数分のところにGenzymeという会社がある。

 

キレイなガラス張りの建物に入っているBio ventureは23年前、現MIT教授のHervey Lodishらによって作られた。

 

Gaucher病という非常に稀な先天性代謝疾患の治療薬の開発目的で作られた会社は後にSanofiというフランスの製薬会社に$20.1 billion (現レートで2.2兆円) という記録的な額で買収される。

 

しかし私が彼のようになりたいのは彼が大金を儲けたからではない。2002年に彼に起こったことが本当の理由だ。

 

2002年、彼の娘がAndrewという名の男の子を出産する。そのAndrew君がなんとGaucher病を患って生まれてきたのだ。なんという確率だろう。

 

私は医者でも生物学者でもない。

しかし金融の、Mega Fundの力によって私たちは家族を救えるかもしれない。

だからHervey Lodishのようになりたいと思うのだ。

(引用終了)

 

f:id:koyamyuk:20161123131453p:plain

Genzymeの施設の1つ。Bostonには大量の製薬企業・Bio Ventureが集積している

機会損失

先日MITの教授がノーベル経済学賞をとったことが話題になった。(彼はスローンでも教えている)

 

たまにAdmission office(入試担当部署)が使う宣伝文句の『MBAでは未来のノーベル賞受賞者の授業を受けられる』が現実になったわけだが皮肉にも経済学で最初に習うOpportunity cost、機会損失の存在が僕を授業から遠ざけようとしている…

 

渡米前、多くの先輩たちが口を揃えて言っていたことに違わずMBAでは非常に充実した多くのチャンスを得ることが出来る。

 

一例として、先日Robert Langer教授(Bio-engineeringの権威で厚さ3cmのCVと500のIP、そして30のspin-out企業を輩出してきた超人)の研究室で働く研究者に会うことが出来た。僕がBio分野でのスタートアップに興味があることを伝えると彼は研究室で最近できたチームがちょうどBusinessサイドの人間を探しているということで紹介してくれることになった。その上研究室のイベントに招待してくれ(教授本人にも会える。物凄くフランクな人柄とのこと)、更に最近のホットなトピックや彼自身の研究テーマであるdrug delivery polymerについて惜しみなく話してくれた。

 

また昨日訪れたCIC(Cambridge Innocation Center、起業家支援施設)で開かれていたVenture Caffeというイベントで出会ったシリアルアントレプレナーにも同様のことを伝えると僕が興味がありそうで、授業に出ながら関われそうなボストン界隈のスタートアップをいくつか紹介してくれるとのことで現在紹介日程調整中だ。

 

更に(まだある)MIT Ventureship programというMIT内での有望なスタートアップの人材募集プログラムに応募したところ2つの会社から引き合いがあり彼らとも協働することになった。

 

当然これだけやっていると授業の予習復習を満足のいくレベルまでやることは・・・難しい。渡米後2か月が経ったもののまだまだ機会の多さに振り回されているおり、多くを逸していたり(先ほども絶対行こうと思っていたHealthcareのHackasonを逃してしまっていたことに気が付いた)、力の入れどころが分からず四苦八苦しているのが現状だ。選択と集中を胸に頑張っていくつもりだが、少なくとも今のところ講義はその中心にはいない。

 

 

余談だが、未来のノーベル賞受賞候補者たちの授業は、必ずしも面白いものばかりではない。一方で衝撃的に面白い授業もある。たまには真面目に授業のことも書きたいがそれはまたの"機会"に・・・

 

 

f:id:koyamyuk:20161022165608p:plain

ベンチャーカフェの様子。ボストン付近のベンチャー関連の人々が集う。ビールとワインが飲み放題。3回までは誰でも入れるが4回目以降は各自のやり方のContributor案とそのReferenceを提出しないといけないらしい。どうしたものか・・・