A promise made

国債の国内消化の限界はいつ頃か??

 

結論から言うと外貨建債務もしくは複数国での通貨統合(EUなど)への参加がない限り国債の国内消化が出来なくなることはほぼない。(厳密に言うと基軸通貨国であるアメリカは国内消化のみというのは難しいかもしれない、ただ本質的に重要なのは安定して消化されることであって国内で消化されることではないだろう)

 

国が赤字国債を発行して調達した円を何かしらの公共事業で使えば使うほど市中預金量が増え、結果として同額国債消化“余力“が増えるから。

 

国債が100億円発行された場合を考えてみたい。

  1. まず国が100億円の国債を発行、その分金融機関の資産からキャッシュが減る
  2. 調達した100億円は公共事業を請け負った建設会社なり公務員の給料として支払われる
  3. 支払いを受けた会社や個人はそのお金を材料費や給料の支払いなり光熱費や食費、学費に使い残りが預金に回る。

基本的にこの流れを延々と繰り返しているわけだが2の段階で100億円が市中に戻ってきた時点で日本全体で見た場合の金融機関の手元キャッシュ量は1の前、つまり金融機関が国債を発行する前の段階に戻る。それは誰が(どの会社)何に金を使っても一緒、日本全体で見た預金量は変わらないはずだ。

 

経済学的には信用創造、説明は銀行ローンの例を用いて成されることが多いが当然国でも同じ原理が当てはまる。

 

何はともあれこうして国は100億円の国債を再び調達することが出来るわけだ。ちなみに決して財政的に健全とは言えないが利払いが膨らんでもこの仕組みが壊れることはない。利子(債券の世界ではクーポンか)として金融機関へ支払われたお金はそのまま国債購入に当てることが出来るから。

じゃあ金融機関が国債ではなく株を買ったらどうなるのだろうか、というとその株には売り手が必ず存在してその人の国債購入余力が増える。

 

今までの僕の説明を全て踏まえると国はほぼ無尽蔵に国債を発行できることになってしまうが本当なのだろうか。実際、国債発行時の利回り(要は金利だ)が多くの場合にマイナスな現状では借金をすればするほどもうかるおかしな状況になってはいる。

 

ではやはり日本国政府は無限に借金できるのか、正直なところ分からない。理論上ハイパーインフレーションが起きて云々、しかし少なくとも日本の場合これだけマネタリーベースが増えてもインフレ率は上がらない。その中でハイパーインフレーションを心配するのは少々こっけいではないだろうか。

 

ただ生産性の低いインフラ投資などに国家予算が使われすぎると、目先のGDPは高くなるがその後がついてこないどころかそういった事業がその後の経済発展の足かせになってしまうかもしれない。失われた20年の原因として使われる説明だが中国のゴーストタウンなどにも当てはまる。

 

預貸ギャップや家計の預金額と国債発行量の差額から導き出される 国政破綻のXデーは大学時代からインテリたちが好んで話す話題の1つだった。そんなこともありいつか書こうと思っていた話題なのだが伝えることの難しさから躊躇してしまっていた。

 

マクロ経済は証明が困難な上に日常生活からイメージが付きづらい為に世の中に誤解が多く出回っている分野だ。それはちょうど1匹1匹の蟻が巣全体で起こっている出来事を推し量れないのと同じだろう。

 

ただその中でシンプルかつ強力な法則は確かに存在している。少しずつでも伝えられるようになっていきたい。

 

 

しかし改めて恐ろしいと思うのは時の経過だ。自分も以前学んだ際に苦労したはずなのに当時の感覚が正直あまり残っていない、なので僕の説明でわかりづらいところなど皆様に教えて頂けたらと思っている次第です。

 

 ところで、冒頭に書いた国が破産するかもしれないシナリオの1つ外貨建債務にもろに引っかかっているケースが最近目立つ。それは中国からの途上国向け貸付、先日アメリカ副大統領Mike Penceも話していた通りアメリカもこの事態に関して憂慮しているようだ。また改めて詳しく書きたい。

 

 

 

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全く関係なくて恐縮だが写真は帰国時に見つけて驚いた養殖本マグロ、しかもメキシコ産。こちらでも食べられるのか探してみよう。きっと高いんだろうな(^^: